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Message●寺島実郎さん

今、世界が直面している問題は、どう過剰なマネーゲームを制御するかということと地球環境問題や世界の貧困問題への対応である。
国際連帯税がこれらグローバルイシューを解決する新しい方法論・新しい視点のひとつであることは間違いない。
まずは国際連帯税の議論を起こし、市民の意識変革の大きなうねりをつくり出す必要がある。そのためのテコとなることをアシストに期待する。
(財団法人日本総合研究所会長/多摩大学学長)
Message●池田香代子さん

いまやほぼ全世界がひとつのシステムのなかで経済活動をおこない、巨額のお金が国境をこえて飛び交っています。
ところが、このお金には税金がかかっていません。同じ経済活動でも、一国内でおこなえば課税されるのに、これはおかしなことです。この、現状にあっていない税制を公正なものに整えて、世界の貧困をなくすための財源とするのが、国際連帯税の考え方です。
たとえば、為替取引に課税することにし、その税率を0.005% とすると、1億円につき5 千円です。決して高くはないと思いますが、これだけで年に3兆円以上のお金が生まれます。どこの国にも税金を払っていない多国籍企業にも、きちんと課税します。
航空チケットには、すでにほんのちょっぴりこの税がかけられていることもあります。そして、武器の売買にはたんまり税金をかけるべきでしょう。長らく夢物語と思われていた国際連帯税が、いま力強く動きだしています。おびただしい人びとが医療や教育やきれいな水を手に入れることができるよう、この動きを見守り推し進めるというよろこばしい務めを、さあ、ごいっしょに果たしましょう。わたしたちは、この世から貧困をなくせる、人類史上初めての世代なのです。
(『世界がもし100 人の村だったら』編著者)
| 「いま、なぜ国際連帯税なのか?」 |
| 2009年 10月 18日(日曜日) 16:37 |
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上村 雄彦(横浜市立大学国際総合科学部准教授)
まず皆さんにお聞きしますが、国際連帯税の話を聞いたことがある人はどのくらいいますか? 聞いたことがない人は? 半々くらいですかね。今日は基本的なことをお話しますが、聞いたことがある人は、今度は他の人に話す時にはどんな風にしようかとか、わかっているつもりでわかっていないところがないか、確認するようなつもりで聞いてください。 世界には、さまざまな問題があります。森林伐採の問題です。地雷で重傷を負った人です。そして、貧困・飢餓です。今、3秒に1人が死んでいます。「1・2・3」今こうして数えている間に1人が亡くなるのです。1日に三万人弱が貧困のために亡くなります。一方、違う世界へ行くと…これはニューヨークとロンドンの映像です。ここで働く人(2-3千人)のボーナスが4兆円にもなります。わずか1%のお金持ちが、世界の40%もの富を所有しています。その一方では1日にわずか100円がなくて死ぬ人がいます。 どうしてこのようなことがおきるのでしょうか。そこには主に3つの要因があります。1.資金の不足 2.国際経済の変容 3.グローバルガバナンスの欠如、です。 1 資金の不足について 2 国際経済の変容について 取り引きには2つの種類があります。1つは物やサービスを売ったり買ったりするもので、これを実体経済と言います。それに対し、もう1つ、ただお金を右から左へと動かしてその利ざやで短期的利益をあげるバーチャル経済・マネーゲームがあります。 今、世界の実体経済が3600兆円であるのに対して、バーチャル経済・マネーゲームの規模は1京3000兆円、実体経済の3.6倍にも達しているのです。何も生み出さず、金を右から左に動かして短期的利潤を求めるマネーゲームがここまで拡大しているのです。 3 グローバル・ガバナンスの欠如 外国為替市場でのマネーの動きは、1973年4兆ドルだったのが、80年代に40兆ドル、2007年には770兆ドルにも達しています。このような国際金融資本の動きに、国や企業は逆らえません。(94年メキシコ・ペソ危機、97年アジア通貨危機、98年ロシア・ルーブル危機、99年ブラジル通貨危機、2001年アルゼンチン通貨危機などの年表を見せながら)逆ったら、国債や株が売り浴びせられます。 でも、大もうけしている人達は税金を納めて社会に貢献しているじゃないか、と思うかも知れませんが、そうでもありません。世界貿易の50%、金融取引の50%がタックスヘイブン(税がかからない地域)を通じて行われています。このため、お金は先進国から途上国へ、ではなく、途上国から先進国へ年50兆円流れています。アフリカからの資本避難が年14兆8000億円です。 またオフショア経済に隠されている資金は総額1150兆円です。これに通常の税をかければ25兆5500億円の税収が見込めます。先ほどミレニアム開発目標に必要なのは5兆円と言いました。税を逃れている国際取引を放っておいては問題は解決できません。 解決策 国際連帯税 ここで解決策として提案したいのがグローバルタックス、国際連帯税です。なぜ税なのか。皆さんの中に税が好きな人はいますか? 税は嫌なものですが、税によって医療などに必要な財源を生み出すことができます。そして税にはgoods減税bads課税という重要な機能があります。goods、つまり環境などに良いことをした場合には減税をし、bads、つまり環境・平和などに悪いことをした場合には課税することを通じ、良い方向へと誘導する機能があります。 国際連帯税の定義 ~グローバルな活動に対して負を抑制しつつ税収をあげ、グローバルな公共財を供給するための税~ では、本当にそれはできるのか? そう思う人がいるでしょうが、実は、もう一部できているのです。国際航空券税というものが既にあるのです。飛行機に乗ることができる豊かな人に課税をし、貧しい人々に再分配するのです。国際線のファーストクラス・ビジネスクラスに10~40ユーロ、エコノミークラスに1~4ユーロの税を課し、これをエイズ・マラリア・結核の対策にあてています。 2006年2月28日~3月1日にパリ会議があり国際航空券税に賛同する国が13ヵ国、現在は28ヵ国に拡大しました。現実に導入しているのが11ヵ国です。また、このようなグローバルタックスを検討するためのリーディンググループには現在55ヵ国が入っています。 次に、そのような税がちゃんと使われているのかが心配になることでしょう。 国際航空税の運用については2006年9月19日に設立されたユニット・エイドというガバナンスで行っています。安定した資産で薬品を大量購入することにより、エイズの薬品を25~50%、マラリアの薬品を29%、結核の薬を20~30%下げました。 ユニット・エイドの理事は、資金供給国から5名、アフリカとアジアから1名、市民社会から2名、WHOから1名、財団から1名出しています。国の代表だけでなく、NGO・市民社会もプロセスに加わり、透明性・アカウンタビリティを確保しています。「でも、市民やNGOを入れるのはポーズであって、結局政府側の意見で物事が決まっていくのではないか」と思う人がいるかも知れません。私もそう思って市民代表に聞いてみました。すると、「当初は政府代表とやり合った。しかし、次第に市民社会・NGOが政府にない情報を持っていることが理解され、今は我々の意見が十分尊重され、決定にも影響を及ぼしている」という答えが返ってきました。議事録も全て公開されています。まだ形成段階ですが、より透明で民主的でアカウンタブルなガバナンスがつくられつつあります。 一定の力のある人が決めていくのではなく、世界中の声をいかに拾うか、いかにお金の流れを説明できるかが注目されるところです。 他には、環境の面で地球炭素税・天然資源税、平和の面で武器取引税など、いろいろなことが議論されていますが、今、リーディンググループで主として話されているのはCTDL通貨取引開発税のことです。 これは、あらゆる国際通貨取引に課税するものです。通常の取引には低い税率で、設定した変動幅を超える取引に対しては高い税率をかけ、投機を抑え込みつつ、一定の税収を確保する方式を取ります。 これで年10兆円の税収が見込まれます。MDGsに必要な資金は年5兆円です。MDGs達成のために有力な資金メカニズムと言えるでしょう。 これに対して、主に金融界からいろいろな批判があります。日本だけでなく、いろいろな国で一斉にやるべきだという意見もありますが、1国だけでできます。税収は日本だけでも5600億円でODAの73%、主要な国で3兆3400億円。 また、個々の取引を捕捉することができないという意見がありますが、現在SWIFTという決済システムなどで全ての取引が補促されています。また、AさんがBさんに100万円、BさんがAさんに70万円の債務を負っている場合、相殺してAさんがBさんに30万円払うということが行われており、このようなnet(純)の値は出ても、グロス(粗)の値が捕捉できないという意見もあります。しかし、これはグロスも記録するような義務を与えれば良いのです。 昨年、2008年2月20日、国際連帯税の議員連盟ができました。谷垣禎一議員や、自民党税調の中心、津島雄二議員、林芳正議員など、有力な人が入っています。福田総理の福田ビジョンの中では国際連帯税導入を検討することが記され、9月には国際連帯税のリーディンググループに加わりました。 この国際連帯税はフランスのランドー委員会というところで研究されたのですが、日本版ランドー委員会というべきものもできあがり、寺島宗郎さんが座長を引き受けました。 今、この国際連帯税を進めているのはフランスとその旧植民地が中心です。ここで鍵を握るのが日本です。間に入り、アメリカやアジアを引き込む役と言えるでしょう。 資金をグローバル・リッチからグローバル・プアへ再配分し、巨大化するグローバル金融をコントロールして政治の復核を果たし、グローバル・ガバナンス(地球的統治)を日本がリードする。地球の運営をともに行うのが真のリーダーシップです。グローバルタックスは地球的統治を促します。もし、日本がCTDL(通貨取引開発税)を実現させ、温暖化対策・MDGsを達成すれば歴史的偉業です。 日本・中国・アメリカの利益ではなく、地球の利益を考える、現代の坂本竜馬が今求められています。 ご清聴ありがとうございました。
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