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Message●寺島実郎さん

今、世界が直面している問題は、どう過剰なマネーゲームを制御するかということと地球環境問題や世界の貧困問題への対応である。
国際連帯税がこれらグローバルイシューを解決する新しい方法論・新しい視点のひとつであることは間違いない。
まずは国際連帯税の議論を起こし、市民の意識変革の大きなうねりをつくり出す必要がある。そのためのテコとなることをアシストに期待する。
(財団法人日本総合研究所会長/多摩大学学長)
Message●池田香代子さん

いまやほぼ全世界がひとつのシステムのなかで経済活動をおこない、巨額のお金が国境をこえて飛び交っています。
ところが、このお金には税金がかかっていません。同じ経済活動でも、一国内でおこなえば課税されるのに、これはおかしなことです。この、現状にあっていない税制を公正なものに整えて、世界の貧困をなくすための財源とするのが、国際連帯税の考え方です。
たとえば、為替取引に課税することにし、その税率を0.005% とすると、1億円につき5 千円です。決して高くはないと思いますが、これだけで年に3兆円以上のお金が生まれます。どこの国にも税金を払っていない多国籍企業にも、きちんと課税します。
航空チケットには、すでにほんのちょっぴりこの税がかけられていることもあります。そして、武器の売買にはたんまり税金をかけるべきでしょう。長らく夢物語と思われていた国際連帯税が、いま力強く動きだしています。おびただしい人びとが医療や教育やきれいな水を手に入れることができるよう、この動きを見守り推し進めるというよろこばしい務めを、さあ、ごいっしょに果たしましょう。わたしたちは、この世から貧困をなくせる、人類史上初めての世代なのです。
(『世界がもし100 人の村だったら』編著者)
| 「市民と税を問い直す」 |
| 2009年 10月 18日(日曜日) 16:42 |
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三木 義一(立命館大学法科大学院教授) (※この記事は、2009年4月4日に行われた「国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)設立記念シンポジウム」での講演を編集部の責任でまとめたものです)皆さん、こんにちは。今の上村さんのお話を聞いてどうでしたか。皆さんの頭も、非常にグローバルな視点でものを考えるようになったのではないでしょうか。うまく説明されていると思いましたし、ちょうど時間ぴったりに終わるんですね。たいしたものだな、と思いました。同時に彼の話を聞いていると、彼が坂本竜馬に見えてくる。なかなか上手い持っていき方だな、と思いました。でも、坂本竜馬も一人で改革が出来たわけではなくて、先ほど上村先生がおっしゃたように、周りのサポートが大事なわけで、彼についてもそうでありますので、ぜひこういう運動をみんなで高めてゆきたいと思うのです。 人間社会というものは、人間というのは愚かなもので、何度も同じような過ちを繰り返していますよね。でもそうはいいながらも、少しずついろいろな人の努力で良くはなってきているのです。今の彼の話を聞いていると、当然こういう方向に向かっていかなければならないだろうな、と皆さんも感じていただいていると思うのです。 それで、もうちょっと違う角度から皆さんに考えていただきたいのですが、人間社会でいろんな人が生活する以上、さまざまな個人あるいはグループの対立が生じてきます。紛争が生じてきますよね。こういう紛争というのを、人間社会はどうやって解決してきたでしょうか。長い歴史のスパンで見てみますと、最初は、AとBが対決するとどちらが正しいとどうやって決めていたのでしょうか。決闘ですかね、殴り合いですかね。それから殴り合いの手段もだんだん技巧化されたのでしょうが、そのうちそれも馬鹿らしくなってきて、一種の調停的なものとして第三者がやる、というのが入ってきたと思います。最初、魔術師の占いで神の声でやったりとかだったかもしれませんが、そのうち、それももうちょっと合理化されてきたけども、宗教的色彩が強くて、宗教裁判的なものだったかもしれません。そして、だんだんそういうものから離れていって、もう少し合理的な規範で第三者が、双方の言い分を聞いて、武力を行使せずに解決する。これによって、近代社会における裁判制度というのができたわけですよね。 これは、人類にとってものすごい進歩ですよね。このおかげで人類は、紛争を暴力無しで基本的に解決できるようになってきたわけです。ただ、この制度もなお、われわれにとって課題がある。国内問題しか解決できない。国内の問題は、なぜ裁判という制度で紛争を解決できるのか。それはサンクション(制裁)とも言うべき武力等を独占できるという国家の下でこの機能が果たせている。国家主権というのがまだなお非常に強いわけですから、国家が武力を持てるという仕組みの中で、国際紛争について、一応国際司法裁判所というのができてはいるのですが、これがまだまだ機能としては弱い。これは皆さんのご存知のとおりです。次のわれわれの、人類社会の課題のひとつは、国際紛争を裁判という武力でない制度で決着をつけることです。こういうものになれば、われわれの社会は相当変わってくるだろう。裁判制度を見てもそうなのであります。同時にそういうものと連動して、私たちの社会を誰が、どういう形で支えていくか。そのひとつの象徴が、「税」ですよね。誰が税金を負担して、誰が使っているのか。それは社会のあり方そのものです。 貧富の差はなくなったから消費税だったのに・・・ 税金のあり方を長い歴史で見ますと、ここには恣意的に取って、しかも人頭税的な形で取るという、長い歴史がありました。非常に不合理な形です。それを是正するということで、間接消費税の形に入りました。しかし、これが極めて不平等性の高い側面があったので、平等性を少しでも入れられるようにと、所得というものに着目して1800年代後半から1900年代の、まあ今もそうですが、基本的には所得で課税するという仕組みがベースになっています。しかし、この所得に対しては国家が介入するという、下の懐に入ってくるという側面もあって、より合理的なものとして消費・支出の段階で課税をする方向がいいかもしれない、という動きが一方であるといえます。この評価については意見が分かれます。それで、徐々に消費税が高まってきているわけです。いまや、もはや日本では、消費に課税してこれから増税してゆくしか財源の道がないかのようになってきているわけです。この点は、皆さんご存知のとおりです。 消費税、所得税や法人税は、この間著しく減少してきました。ある意味やせ細ってきました。OECDの中でも、これだけ所得課税がやせ細ってきている国は、日本だと思います。その中で唯一残されている財源として注目されているのが、消費課税の分野であります。もちろん所得課税の分野でもなお残されている分野はあるんですよね。それはサラリーマン。給与、あとは退職金です。このあたりが残されているわけですが、いずれにしろ消費税が大いに課題になっているのですが、この消費税が入ってきたときのことを、皆さん覚えていますか。消費税が入ってからもう20年です。私、ついこの間かと思っていたら、違うんですよね。だから、入ったときのことを知らないでしょう、皆さん。あの時、経団連と財界は「消費税を入れろ」と強く言いました。その一番大きな理由覚えていますか。もう日本は消費税の時代なのだ、なぜか? そのとき言われたのは、覚えていますか? (フロアから「福祉目的」)福祉目的? それは高齢化社会のためですね。それも確かひとつ言われました。けれど財界が言っていたのは、それ以上に、明治時代の日本は、新入社員の年収と社長の年収と比較すると200倍ぐらいの違いがあった。それが、昭和60年代に、いまや社員の年収と社長の年収と比較するとわずか7倍ぐらいの違いしかない。税引き後の年収が。苦労して社長になった人間と、ものになるか分からない新入社員とがわずか7倍ほどの差しかない。こんな平等な社会がありますか?と。日本は当時はバブル期の、バブル崩壊前ですから、非常に景気が良かったし、当時の賃金係数は、日本は確かOECD諸国の中でも一番低く、いわば平等度の高い国といわれていたんです。これだけ平等性の高い国になったのだから、消費に一律に課税される、消費税を、もう入れていいんじゃないでしょうか。こういうことで(消費税が)入ったんですよね。 入ってから20年。平等な社会に平等な税金、ということで入ったのですが、これが果たして平等な社会を補足したのか、強化したのか。ご存知のような状況になってしまった。何でこんな格差社会になっちゃったのでしょう? そういう状況の中で、私どもはこれからの税制のあり方を考えていかなきゃいけないわけです。税金の側面から、先ほどの国際連帯税をみますと、私は、大変重要な意味があると思っています。何よりも、税制というのは公平でなければなりませんよね。いくら安い税金でも、不平等ではいかんのです、みんな。相当(税金が)安くても、もっと安いやつがいると腹が立つんです、不思議なことに。多少高くても、みんな同じだと思うと納得してしまうのです。そういう意味で、公平さというのはとても、税制の場合、大事であります。 「公平」と消費税 消費税というのは、皆さんが消費するときに実際ものの価格に転嫁されて、皆さんが経済的に負ってしまうという意味で、「一律課税」の代表的なものであります。そうしますと、低所得の人と高所得の人を比較しますと、相対的に所得の低い人の実質的な負担が高くなってしまうという、「逆進性」といわれるこういう性格を持った税となる。これは皆さんよくご存知だと思います。この消費税が入る前には、消費税として「物品税」というものがあったんです。知ってますか? もう、過去の歴史を話すようになってきてしまいました、私も。当時はちゃんとあったんですよ、大型の消費税というものが。ただ、物品税は特定の物品、法律にちゃんと名前を書いた商品だけを課税する、こういう仕組みでありました。 ですから、新しい商品が出てきたら、それを法改正して、法律に名前を入れなければ課税できない、という仕組みでした。たとえばOA機器など出てくると、すごい贅沢品だから本当は課税してもいいのだけど、いわゆる族議員さんががんばって抵抗して改正させない。そうするとなかなか課税できない。そうすると物品税というのは、本来は贅沢品課税で合理的なはずだったのですが、現実には非常に不公平なものになりつつあった、という状況がありました。そこで財務省のほうは、何がぜいたく品か分からなくなったのだから、みんな一律に課税できる消費税にしたらいいじゃないかということで、盛んにキャンペーンを張って、消費税が入ってきたわけであります。 それで、消費税は昔の物品税と何が違うかというと、物品税は、原則は非課税なのです。法律に名前を書いたものだけが課税されるというわけですね。ところが今度、消費税は違うでしょう。消費税は、国内における資産の譲渡はすべて納税義務、課税対象になります。原則課税です。法律に名前を書いた、たとえば医療取引とか郵便取引とか、法律に名前が書かれた物だけが非課税なのです。原則が逆になっちゃうのです。これは大きいんです。原則逆ですから、新しい取引形態ができても、新しい商品ができても、法律を変えなければ自動的に課税できるわけです。すごくいいでしょう。取るほうからすると魅力的です。私ももし、財務省の官僚でしたら、もし今日財務省の官僚として来たら、皆さんの前で「こんないい税制ありません」と間違いなく言うと思います。そういう意味では、一度投入しますと大変やりやすいんですね。物品税よりも、先ほど言ったような意味では、なお公平性があるかもしれない。 ただし、物品税はさっき上村さんが言った「GOODS減税、BADS課税」という原理を、わりと実現できたんです。たとえば最近のジュースはどうか。昔、私が販売機で買ったとき、果汁10%未満かどうか書いてあったんです。あれは、なんだか知ってますか。みんな知らないでしょう? 10%未満というのは、原料を安くして作った粗悪な飲み物でしょう。これは物品税かかるんです。で、10%を超えると物品税非課税なんです。そうやって、いいもの作りなさい、という政策だったんですよ。税金というのは、そういう形で政策に反映できるんです。そういうもののひとつとしてそんなのがあって、物品税なども使えたんですが、今は消費税として一律という形になっています。 この消費税の基本的な特色は、皆さんに先ほど言いましたように一律課税なんですが、国内における資産の譲渡なんです。課税対象にできるのは、国内なんです。外国で消費したのはもちろん外国で課税するのですが、じゃあ日本と外国をまたいだのはどうなんでしょうか。国際は? 国と国をまたいだのは向こうの国で消費されたら向こうで課税されますが、消費ではない、国と国の役務協定とか航空券、国内線に乗るとちゃんと消費税がかかるんです。国内における資産の譲渡です。国際線になると、これは消費税の課税対象じゃないでしょ。突如抜けちゃうんですね。そこで、そういう意味で、国内と国際というのは大きな壁があるんです。皆さん、消費はみんな課税されていると、国際線に乗ったらもっと贅沢なところ行っているんだから当然消費税かかっていると思うでしょうが、国際線に乗るとかかりません。なんかおかしいですね、これ。皆一律平等だといいながら。そういう意味で、消費税というものは基本的に国内課税だという仕組みでできている制約があります。それで、各国がそれぞれ国内の消費に課税している。じゃあ国際はどうするんだと。そこがひとつの穴なんですね。そういう欠陥があるんだということも押さえておいていただきたいと思います。 それと、消費税と今の格差社会との関係で言いますと、私の一番嫌いなところは…、私がなぜ消費税が嫌いかというと、消費税というのは売り上げから仕入れた物を引いたその差額を業者が負担する。これは今日税理士さんいらっしゃいますから後で聞いていただきたいのですが、私が企業だったら、従業員に給料払うと、これは売り上げとは関係ありませんから(仕入れとして)引けません。ところが従業員に代わって派遣会社に頼んで人を派遣してもらって派遣会社に賃金を払うと、これは外注費ですから、課税仕入れですから、これは引けるんですよね。消費税安くするには、派遣にすればいいということになりますよね。そういう税制であります。ですから私は消費税が入るとき、「こういう社会に(なると)、これ入れるとこういう側面増えるよ、これではやはりあまり良くないんではないか」とずいぶん言ってきたわけです。そういう意味では、消費税をもしこれから増税してゆくのであれば、こういうところも手を打って、ちゃんと皆さんが、正規の労働がちゃんと配慮される仕組みを、あわせて作っていかないと、私はおかしいというふうに思っているわけであります。 国内的公平から「国際」的公平へ そういう意味で、公平性との関係で消費税が問題となるわけですが、とりわけ国際になると抜けちゃうというところがひとつ大きな問題となっている。そこで私は、私どもの社会が抱えている大きな課題は、日本の税制問題、国内でもいろいろ不公正な問題があります。これはもっと是正していかなければいけないのであります。だけど、国内の問題を一生懸命公平な税制にしようと思ってやっても、国際のところを落としていると、いくらやっても全部ザルで抜け出ていってしまいます。いくら国内の税制がものすごい平等ないい税制になって、みんなが国内でやっている限りは同じように税金かかるようになっていても、国際というものを使うとずっと抜けていくっていう仕組みがあれば意味ないでしょう? 実際、国境っていう壁はすごく税の世界では大きいんです。これだけ人が往復しているし物が流通しているし、全世界国際取引なんか把握できているし、ちゃんとやれているはずだと思っているかもしれません。しかし、税の世界でも国際の壁は、すごく高いのです。 たとえば、いろんな人が日本の国の中に住んでいますが、日本がこの中にいる人の中でどれだけ課税できるのか、あるいは課税できないのか。どの国がこの人に税金かけるのか、どうやって決めていると思いますか?どの国がどの人に税金をかけるか。何を基準に決めていると思います?今、国際的に、世界では。基本的には住所だったんですね。皆さんがどこに住んでいるかで、どの国が税金を取れるかが決まってくるんです、基本的には。でも、住所ってお分かりですか? 生活の本拠です。ですから、皆さんが生活の本拠を変えれば、住所を日本から他の国に変えることができるわけです。こういうものを使うと、どういう租税回避ができたか?この間、バブル期以後、さまざまな租税回避策が考案されました。日本では、生前贈与があると税金払わなきゃいけないのは誰ですか? もらった人ですね。アメリカは、贈与税で、AさんからBさんに贈与すると、払った人に税金がかかりますね、アメリカは遺産税ですから。アメリカは払ったほうが税金かかる、日本はもらったほうが税金かかる。そういう国の中で、住所をアメリカに移せばアメリカの税法が基本的に適用される。日本に残ってたら日本の税法だ、さあどうしたらいいだろう? お父さんが息子にある国債を贈与してあげる。ついては、どうしましょうね。お父さんがわざわざアメリカ行って、日本にいる息子に上げちゃうとどこで課税されちゃうか。おばかさんですよ。だから、英語ができなくても、息子をアメリカに住ましちゃう。資産がある人が、某銀行に預けておくと、某銀行がアメリカの支店に息子さんを雇ってくれる。そして住所を移す。その間に巨額のアメリカ国債をお父さんが買って、息子に贈与する。両方セーフです。そういうようなことがいっぱいあったんです、実は。 それで、これを何とかしなきゃならないと政府もこれを規制することを考え始めて、これ(課税を)住所以外にどうしたらよいだろうか? こうやって住所でやっていったらどんどんみんな移って、いろいろ税金逃れをやられちゃう。どうしたらいいか、そう簡単に移動できないものでやるしかないな、ということで、日本で始められたのが、ドイツなどでもやっているんですが、「国籍基準」をとり始めました。日本国籍の人は国外に逃げちゃって5年以上逃げないと日本で税金かけますよ、とかね。こういうふうに相続税は今、し始めました。所得税にも国籍を入れました。国籍で少しずつ変えようと、是正をしようとしているんではありますが…、この国籍という考え方が、人間社会の未来にとっていいのかどうか、これはやはりもうひとつの問題点です。いずれにしても住所というのは、今は住所で決めていますから、いろいろ不本意な問題が起きています。それで皆さん自身もおそらく今後、今はいろんな意味で移動可能だから、ひょっとしたらこういうところで悩むかもしれませんよ。 実は私、今日変なバッジをつけていますが、なぜかというと、今日この会合終わったところである人のところへ行かなくてはならないのですが、その人、外国の居住者ですが、外国に住所があるからってことでちゃんと外国に税金払っているんですが、時々日本に帰ってきてるんですね。そしたら日本の税務署が、日本にお前の住所がある、生活の本拠は日本だ、ということで両方で税金かけられちゃっている。何とかしてくださいっていうことで、今日相談に行かなくちゃならないのですが、そういう人も出ている。いずれにしても、こういう形で住所がキーワードになって今までやってきているのですが、国籍のほうに移りつつある。 これだけ経済がグローバル化した社会のなかでは、国際的な役務の提供、国際的な物の流通、国際的な移動、こういうものについてですね、きちんと国内における資産の譲渡と同じように課税の対象にしていくべきだと思っています。それは公平さの観点から。そして、先ほど上村先生おっしゃったように、もうひとつ資金面の観点から、こういうものをやっていく必要があると思っています。こういう通貨取引に課税できるという仕組みができれば、税収上これは大変効果が大きい。これは税率によって相当変わりますけどね。そうしましたら、これをどういう形で使うか。これこそまさに国際的に議論する場ができてくると思っているわけです。そういう意味で、次の社会を作るきっかけになるだろうということになる、というふうに思っています。そういう意味で、公平さの観点から国際的な役務の提供などの課税の問題を考えなければならない、ということを強調しておきたい。 税のあり方は私たち社会の設計図 今日配られた資料の裏側に簡単なレジュメがありますが、上村先生のようにかっこよい物にしたかったのですが、余力がなくこういうものにしました。この4番目に皆さんに理解していただきたいのは、強調しておきましたように、税制のあり方は社会のあり方を決めるものです。税制のあり方は、社会の設計図だというふうに思っています。そして今回、国際連帯税としての通貨取引税、というものができた場合にひとつ問題となるのは、どこが立法してどこが取るのか、どこが徴収するのかという問題が出てくると思います。さしあたりはおそらく、日本でもし入れようと思いますと、日本政府は有価証券取引税というかつて税金があったんですが、それと同じように、証券会社等を源泉徴収のように把握して、そこに払わせる、ということになると思いますが、通貨取引税だと、最終的な日本の場合、決済は中央銀行・日本銀行ですから、中央銀行に全データが行くというシステムを作って、今大体出来ているんですが、中央銀行に徴収させて国のほうに納付させるという仕組みになるだろうと思います。そういう意味では、さしあたり国ということになるかもしれませんが、この問題を考えると、もしそういうものを把握して、外国の取引者が日本で決済してるんだけど払わない、なんていうときにどこが取るべきなのだろうか、という大問題が発生します。これは解決すべき非常に大事な問題であるとともに、非常に面白い問題でもある。これが次の社会を作っていく鍵になるかなあと思っているんです。 そもそも税金というのは誰が取るのか、どこが取るのかというのは、大変大きな問題でしょう。たとえば日本だって税金はいっぱいあるでしょう、皆さんご存知のように。国税もありますし、自動車税のような地方税もあります。市町村民税もあります。どこが一番とりやすいでしょうか、きちんと。市町村でしょうか、村役場が一番取りやすいでしょうか?それとも国でしょうかね。徴収率は地方が圧倒的に悪い。なぜか。能力がない? 能力はあるんだろうけれども、やっぱり身近ですからね、あまり機械的に取れない。つい最近のデータでは、山梨県が今年の徴収ワースト1ですね。(山梨県が)徴収率が悪いところ、最下位になっていますが、自治体は一般的に徴収効率が非常に悪い、といわれていますね。自治体はなぜ出来ないかというと、いろいろ理由があります。継続的に徴収のシステムを作っていません。職員たちはどんどんいろいろな職場にまわされますから、プロがいません。これに対して、国は全部プロの制度でやるでしょう。そういう意味で、技術力が高いわけです。国が取るべきなのか、自治体が取るべきなのか? おそらく効率からいったら国なんでしょうね。自治体がやると時々変なことやりますし、昨日の報道だと定額給付金、あれを自治体がその人に渡したと同時に差し押さえするということになっていました。対抗している、納税者に。要するにあれを渡して、税金をとっているんですね、自治体がね。そういう取り方をしているところありましたけれども、いずれにしても、自治体にするといろいろな問題が起きてきます。税の徴収は、そうした観点から見ますと、国という基準のほうがまずベターでありましょう。 しかし、本当に国に頼っていていいのか、国しかないのか? いや、そんなことはないでしょう。さしあたりのこういう課税権限、徴税権限というのが、国というものを頼りにこれまでできてきた。人間社会というものは、そういうもので作ってきたわけです。国しかないということはないんですよ、国家間しか。これも国家の徴税権限、課税権限というものは非常に強いです。徴税権限はそれぞれの国が、その国内について徴収する権限を持っていますので、他国の財務省が来て日本国民から税金を取っていくというのは原則としてできません。出来ないんです。ここにも国境の壁は高いんですよ。だからたとえば外国の方が日本に来てお稼ぎになって、本来なら源泉徴収あるいは納付していかなければならないのですが、それをしないまま外国に逃げちゃう、帰っちゃう。それに日本政府は気がついた、どうしたらいいですか? 日本の徴収官は外国行ってその人の財産差し押さえできますか? 出来ないですよね。現行法では出来ません。その国にお願いして取ってもらうということがかろうじてありうるくらいですけど、そういう場合にも徴収扶助協定を結んでおかなければならないのですが、日本はほとんど結んでいません。だから逃げられたら逃げられっぱなし、であります。例の、刑事犯罪で、罪を犯しても外国逃げちゃった人たちに対して、たとえばブラジルなんか特に問題になったでしょう。あれと同じ問題が、税の世界でも実はあるんです。そういう意味では、国境とか国というのはなお大きな壁なのです。 今回の問題のときにタックスヘイブンの規制はどうするのか、規制できないのかと言われました。これは、端的にいいますと、税金を誰からどういう税金を取るか、それはその国の専権でしょ。その国が「税金取りません。うちは無税にしますから、世界の資産家いらっしゃい。」とやったら、「けしからん」といったって何を解明できますか? 解明できないでしょう。その国の権限で「相続税とりませんから、世界の資産家いらっしゃい。その代わり資産持ってきてよ」。こういうことをやって、そしたら日本が「けしからん」と怒ったとしても、今のところ何の規制も出来ませんよね。タックスヘイブンというものについては、OECDは大変に困っているわけですが、タックスヘイブンとみなしうる国を公表して、こういう国々に自主的に改めるように促すだけなんです。それ以上のことは出来ません。 そして、これを放置しておくと、どういうことになりますかわかりますよね。こういう国に移動できる財産は、どんどんそこに移動されます。そうすると、持って行かれちゃった国は大変ですから、どうしなきゃ対抗できませんか? タックスヘイブンより(税を)安くしなければなりません。「うちのほうがもっと安いから戻して頂戴」と、でしょう? そうするとタックスヘイブンはまたさらに下げるでしょう。最後は香港みたいに、「相続税やめます」と、そんなふうにしないといけないわけです。これが俗に言う「税の安売り競争」と言われています。「税の安売り競争」を放置していると、移動できる資産、移動できる人たちはそれを通じて税負担を異常に軽減できます。すると、移動できない人たち、移動できないもの、日本で典型的に言いますと土地ですね。不動産、国内における消費、これはどうしようもない。これは国内で使うしかないから、そういうものと国内で働くしかない人たち、一般のサラリーマンです。農業の人たちもそうでしょう。そういう人たちからしか、国は税金を取れないということになります。移動できるやつはフリーで、移動できない人たちが国家の税制を支えている。そんなのは、誰が考えたっていびつな社会でしょう。 ですから、自由な移動を保障しつつ、そういう人たちについては、きちんと税金の負担をしてもらうということをしないと、いい国際社会にはならないだろうと思います。そういう観点からもう一度見直してみますと、国際的な移動についてもきちんと課税する、特に通貨取引のように国と国をまたいで取引するものは、きちんと課税する仕組みが必要である。あわせて徴収仕組みを作っていかなければならない、今のところ、さしあたりそういうものとしてあるのは国であります。国が取ってくるしか今のところないでしょう。 しかし、こういうものを取って、その国が自由に勝手に使っていいものとして取っていいのかということが次に問われてきます。そうすると、次に税の使い方。国際取引から取った税金を誰のために使うのか? 国際社会のために使わなければならないということになってくる。そうしますと、一国が取ったらまた拠出します。これを国際貢献のために出します。これは、なかなかやらないんですよ。皆さんも経験あるでしょう。「お金が戻ってきたら、お前にやるよ」と言ったって、いったん戻ってきたらやはり自分のものでしょう? だから、弁護士だって、成功報酬をどうとっているか知っていますか?一旦勝って戻ってくるお金をその人(依頼人)の口座に入れちゃったら、やはり自分のものだから払いたくなくなっちゃうんです。だから弁護士がどうやっているか知ってます? 勝ったら、成功報酬は弁護士の口座に入れてもらうんですよ。そして自分の報酬差っ引いて渡すんです。そうしないと、円滑な関係ができないでしょう。皆さんそういうの、人間心理としてお分かりだと思います。だから、国の税金も一国の国が取ってしまいますと、出したくなくなってくると思いますよ。やっぱり取った国が欲しがると思いますよ、拠出したがらない。そうだったら、税の徴収についても、国際的な協力機関が必要だと思います。 今、国際機構としてはご存知のように、国際連合、国連というのがあります。それで、国連は課税権限がありません。徴収権限がありません。国際法の人たちに聞きますと、国連の課税権というのは昔から議論があるのだそうですね。やるべきだといういろいろな議論があるようなのですが、ご存知のように現在出来ていません。そして、この国際連帯税、通貨取引税などの提案者のおひとりのパトマキさんという先生などは、「国連の課税権ではだめだ。国連の仕組みだと、今のご存知の理事会制度なんかを含めて、税の使途の権限については大国の利害がかなり強まっている。これをもっと民主的な仕組みにしていかなければならない。税の徴収の機構を作って、新しい国際機構を作っていかなくていけない」という提案をされています。私、それも大事だなと思っているんですね。新しいそういう仕組み、税というのを軸として、新しい国際的な共同機関として、調整機関をつくる。そこで、そういうものが国際税として税をとって、財源を持っている。それを何に使うか、まさに国際社会の今度は国際的議会というもので税の徴収権限を決めていく。税の使途を決めていく。そういう社会に、これはつながっていると思うんですね。 私は、これは人間社会の進歩のひとつの証だと思っています。これが出来るような社会を、次は作っていかなきゃならない。私どもはおそらく、問題提言して終わってしまう世代でしょう。上村先生なんかのところで取っ掛りが出てくるかもしれない。それで今の学生さんのところで実現化する社会だろうと思っています。ぜひ若い人たちぜひがんばってほしいと思います。私たちも残るエネルギー出しますので、ぜひこのような社会にむけて、国際連帯税からはじめていきたいと思っています。ということで、ぜひ、皆さんご協力お願いしたいと思います。どうもご清聴ありがとうございます。
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